近「みんなの談話室」で、外国人が日本舞踊を踊る事についての話題に、花が咲きました!Aさんの書き込みに、ある若い舞踊家さんが「外国人が本衣装を着けて、『藤娘』や『娘道成寺』を踊る姿、想像出来ます?」と仰ったと書かれていた事が、事の発端でした。この書き込みに幾つものレスが付いて(勿論僕もレスを付けましたが)、それらは全て、外国人の日舞を肯定する内容でした。そしてそれ切り、
Aさんはこの件について、コメントをして下さいませんでした。「多勢に無勢」という感じでしたし、ウッカリすると人種差別発言になる恐れもあるので、コメントを控えられたのだろうと推察しています。

ところが実際は、既に多くの外人さん達が、藤娘や道成寺を本格的に踊っています!それもモウ、何十年も前からです!能や狂言に取り組んでいる外人さんもいらっしゃいます!この事を、皆さんはどのようにお感じになるでしょうか?!」と言う僕のレスに応えて、「すばらしい芸をみせてくれるのであれば、私はどこの国の人でもかまわないです。ようは、その芸の質によるのではないかと思っています。私はすばらしいものを たくさんみたいです♪」と言うレスがあり、更には「私は高校生くらいのとき、NHKの日本舞踊入門講座で黒人の女の人が日舞をおどっていて、『きれいだなあ』と思ったことをいまでも覚えています。黒い肌に水色の着物がとても映えていました。」と言うご意見や、「外国の方で日舞のお稽古に励んでいる方がいらっしゃるとのこと。バレエの熊川哲也みたいな、外国人のプロの日舞の舞踊家さんが誕生したら素敵だなって思います。ひょっとして、もういらっしゃいますか?」と言うご意見、「外国人の日本舞踊家、日本舞踊の世界がひろがりそうでいいですね。日本人にはないものを表現してくれるのではないかと思っています。増えるといいですね♪」と言うご意見が続きました。

みに僕自身のレスは、「バレェやオペラの場合、ヨーロッパやアメリカで多くの日本人が活躍しています!最近の日本人の体格は大分向上してきたとは言え、欧米人に比べると、まだまだ背が低くて胴長短足だし、顔だって一重瞼に蒙古隈、鼻も低い人が多いのに、一流のソリストとして、認められている人も多いです!日本舞踊や歌舞伎は、江戸時代という特殊な時代に(数百年も鎖国していたのは、江戸時代だけですから)、日本人の体型や顔つき、肌の色などの全ての要素をもっとも魅力的に見せる為の、あらゆるテクニックが考案されて完成されたものですから、確かに外人さんが演じる場合、色々とハンディがあることは認めます。でも最近ではむしろ、外人さんの方が熱心ですし、現代の日本人が忘れてしまった古い日本の心を、より敏感に理解してくれてるように思う時があります!それに一言で「外人さん」と言っても、欧米人ばかりとは限らないと思うんですけどネ〜・・・『ある若い舞踊家さんが・・・』と言うところに、実は僕は一番引っ掛かってるんですけど・・・」と言うものでした。

は建前や奇麗事を並べるのは嫌なので、誤解を恐れずに本音を言いますと、その「若い舞踊家さん」の気持ちも、恐らくその言葉に共感されたであろうAさんの気持ちも、本当はよく理解出来ます!一流の舞踊家さん達による、円熟した古典舞踊の芸に触れた時の、とても一言では表現出来ないような素晴らしい充足感を味わった経験のある人なら、外人さんの踊る古典舞踊に対して違和感を抱くのは(たとえその踊りが上手であっても)、むしろ自然な事なのかもしれません。外国でも同じような事があって、名指揮者カラヤンに見出されて一世を風靡した黒人のソプラノ歌手、レオンタイン・ブライスの場合にも、
彼女の「トスカ」や「カルメン」に対しては、かなり拒絶反応があっ
たように聞きました。これは決して人種差別ではなく、本来白人の役である筈の「トスカ」や「カルメン」が、黒い肌をしている事に対する素朴な違和感だったのだと思いますし、丁度僕達が、外国の歌手が演じる「蝶々夫人」に違和感を覚えるのと、同じ事だと思います。外国で頑張っている日本人のバレェダンサーやオペラ歌手も、この違和感と必死で戦っているのでしょうし、同様に観客の方も、あくまでも「芸」そのものを評価し楽しもうと、自分の中の違和感と戦いながら鑑賞しているのかもしれません。

は変わりますが、日本の武道の殆んど(柔道・空手・合気道など)は、すっかりインターナショナルになってしまって、カラー柔道着の問題1つ見ても、今や本家の母屋を取られかねない状況です。日本の「国技」である相撲にしても、外国人の横綱や大関は当り前ですし、
外国でも相撲の国際試合は盛んに行われていて、日本の角界とは全く別次元での「世界チャンピオン」も存在する事を、最近TVで知りました。今のところ日本では、肌の色や髪の毛の色に違和感を感じるような力士はいませんけど、近い将来に外国のチャンピオン並みの、黒人や金髪の白人の力士が出現しないとも限りません。「マワシ」の下にスパッツを穿くようにでもなれば、もう日本的美学も何もあったものじゃないし、「女性は土俵に上げない」なんて制度は(僕は信教の自由は守られるべきだとは思いますが、「女性が穢れた存在である」という考え方には、どうしても反発を覚えます)、全くナンセンスな制度として、遠い過去のものになってしまう事でしょう!時代の流れに竿を挿す事は、誰にも出来ないのですから!

にご紹介したレスの中に、「黒人の女の人が日舞をおどっていて、『きれいだなあ』と思ったことをいまでも覚えています。黒い肌に水色の着物がとても映えていました。」と言うご意見がありましたが、
恐らく今後は、このような感じ方をする若い人達が、益々増えて来るでしょうし
、その若い人達が日舞を愛好して下さらない事には、日舞は衰退するしか道は無いのですから、僕達日舞関係者は腹を括って、
生き延びる為の(真の意味で伝統を守り伝える為の)大きな発想の転換をしなければならない時が、もう目前に迫っているのかもしれません。日舞が、独特の江戸情緒を堪能する為の芸能である事に、別れを告げなければならなくなるかもしれないからです。皆さん、どうかお覚悟の程を!!!(笑)




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その15.≪外国人の日本舞踊家さんや〜い?!